歌川広重『名所江戸百景』にも登場する『山くじら』の看板。山の鯨ということなのだが、正体は『イノシシ』のお肉。表向きは肉食が禁じられていた江戸時代、猪肉は山の鯨で通っていた。味もよく、冷え性や疲労回復に効果があり人気だったそうだ。両国には、そんな江戸の味を守り続けているお店がある。
1718年創業、山くじらすき焼き『ももんじや』さん。ももんじやとは「百獣」を「ももんじゅう」と読むことから転じ、四つ足動物を扱う料理店は、屋号の前に「ももんじや」とつけるのが江戸の決まりだったそうだ。こちらのお店も『豊田屋』という屋号を持ちながら、明治に入り、「ももんじや」という呼称が消滅したことをきっかけに、店名を『ももんじや』そのものに改めたそうだ。
猪をはじめ、鹿、熊といった野獣をいただける。もちろん、すべて野生のもので、猪は丹波や鈴鹿から仕入れているとのこと。養殖ものは使用しない。今日はこの由緒正しい老舗で、お得なランチを食べてきた。
猪小鍋定食A。1350円なり。
定食Aに鹿刺身がつくと定食Bとなり1800円。ご覧の通り、薬味は生姜ではなくワサビだ。つまり、獣臭さが一切ない。ややねっとりとしたキメ細やかな赤身の味が最高。
定食A、Bのどちらにもつく小鉢には鹿のローストがのっている。
迫力満点の猪小鍋。こちらも驚くほどクセがない。口に入れると、身は固く、ずっしりした印象がまずあるが、噛めばホロリとちぎれ、とても柔らかい。割下も最高で、老舗らしい絶妙な味。
ちゃじるしはお肉の脂身があんまり好きではないが、こちらの脂身は甘く、しつこくなくて素晴らしかった。精がついた。大満足!
ももんじや
もゝんじや|墨田区銘品名店会
ランチは日曜・祝日以外なのでお気をつけください。どんどん食べて、日本古来の獣肉文化を繋いでいきましょう!
両国から人形町までお散歩。甘味の老舗『初音』でフルーツパフェを食べた。
用事があって上野に移ったら『うえの夏まつり』がやっていた。上野公園で藝大生の山車に遭遇。これがなんと猪だったというオチ。ごちそうさまでした!
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