ちゃじるしの遊び日記

かわいい遊びのブログ

<第二回>21世紀アメリカ映画ベスト43(BBCのランキングから)

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イギリスの公共テレビ局BBCが発表した『21世紀の名画ベスト100』から、アメリカ映画だけをピックアップしております。

21世紀アメリカ映画ベスト43
( 第30位 ~ 第21位 )

第30位 (69) キャロル
第29位 (68) ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
第28位 (67) ハート・ロッカー
第27位 (62) イングロリアス・バスターズ
第26位 (61) アンダー・ザ・スキン 種の捕食
第25位 (59) ヒストリー・オブ・バイオレンス
第24位 (57) ゼロ・ダーク・サーティ
第23位 (53) ムーラン・ルージュ
第22位 (51) インセプション
第21位 (44) それでも夜は明ける

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☆ 順位ヨコの( )内がBBCでの正式な順位です
ピクサーのアニメは対象外にしています


 

 第30位 (69) 

『キャロル』

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監督:トッド・ヘインズ / 出演:ケイト・ブランシェットルーニー・マーラー / 2015年 / アメリカ・イギリス / ラブロマンス

代表作に『太陽がいっぱい』がある女流推理作家パトリシア・ハイスミスが、デビュー直後に別名義で書いたレズビアン・ロマンスのバイブル的作品『キャロル』を映画化。同性愛は病院で治療するものとされていた50年代の、若き写真家志望の女性と人妻とのラブストーリーだ。同性同士の恋愛で、こんなにも美しい作品が作れることに、当時の読者は歓喜したに違いない。恋に落ちるのに理由なんてない……さまざまな困難がありつつも、ひたすらその一点を死守している。監督はゲイのトッド・ヘインズ。『エデンより彼方に』(40位)とあわせてどうぞ。

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 第29位 (68) 

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

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監督:ウェス・アンダーソン / 出演:ジーン・ハックマンベン・スティラー / 2001年 / アメリカ / コメディドラマ

それぞれの分野で成功をおさめた天才3兄妹、考古学者の母、ダメな父からなるテネンバウム家の波乱を描いたコメディー。これまたウェス・アンダーソン監督が得意とする群像劇、アンサンブル形式の作品となっており、個性が強いキャラクターが多数登場。一家のほどよい崩壊ぶりと、適度な修復具合が絶妙で、意外としっかり感動できた。美しい色使いも相変わらず素晴らしい。一家の隣に日本大使館があり、いいシーンで使われている。

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 第28位 (67) 

ハート・ロッカー

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監督:キャスリン・ビグロー / 出演:ジェレミー・レナー / 2008年 / アメリカ / 戦争アクション

イラク戦争中のバグダッド近郊。時間や場所、形式を問わず仕掛けられる爆発物を処理する米軍兵。戦地での苛酷な任務を描きつつも、戦争の恐ろしさを訴えると言うよりは、この危険な仕事にしか生きがいを見出せなくなってしまった主人公に寄りそった作品。戦地で精神的に追いつめられることにより、生に執着しなくなる心境は、さまざまな戦争映画で描かれているが、本作にはそこに至るまでの描写はなく、主人公は登場時からそんな男だ。この抜け感が本作のよいところで、ハラハラさせられっぱなしのストーリーに没頭できる。

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 第27位 (62) 

イングロリアス・バスターズ

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第二次世界大戦中のナチス占領下フランス。アメリカが派兵した対ナチス秘密特殊部隊「イングロリアス・バスターズ」と女性映画館館主の抗戦を描いたフィクション。タランティーノ監督と戦争映画という組み合わせは少々意外だが、彼以外にはまず書けない驚愕のストーリーで、文字通り、映画を使って世界を変えてしまうのだから、映画ファンにはたまらない展開だ。彼はこのあと『ジャンゴ 繋がれざる者』『ヘイトフル・エイト』と西部劇を撮っているが、こちらも同様に、そのジャンルが持つクラシカルなイメージを刷新していると思う。

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 第26位 (61) 

『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』

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監督:ジョナサン・グレイザー / 出演:スカーレット・ヨハンソン / 2013年 / イギリス・アメリカ・スイス / SF

エイリアンから見た人間の世界。または、食糧としての人間との交流。ストーリーよりも、コンセプト重視の実験的な映画だ。エイリアン役のスカーレット・ヨハンソンヌードも披露)と数人を除き、役者ではない人々が大勢出演している。彼女が物色するのは隠しカメラで撮られた市民だし、謎めいたバイク・マンは、プロのロード・レーサーだ。また、心象風景のような映像や、ミカ・リーバイによるノイズ、ドローンといった音楽も大きな役割を担っている。監督は、ジャミロクワイなどミュージック・ビデオも手掛けるジョナサン・グレイザー。カルト映画として語り継がれるであろう作品。

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 第25位 (59) 

ヒストリー・オブ・バイオレンス

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監督:デヴィッド・クローネンバーグ / 出演:ヴィゴ・モーテンセンエド・ハリス / 2005年 / アメリカ・カナダ / サスペンス

家族を愛し、仕事にもまじめなダイナーの店主。ある夜に起きた従業員を守るためのバイオレンス(銃撃)が、思わぬ展開を呼ぶ。暴力の宿命たる悲劇の連鎖、正当防衛を英雄視することへの罠、はたまた、遺伝する暴力と、さまざまな角度でバイオレンスを描いている。デヴィッド・クローネンバーグ監督へのマニアックなイメージを、いい意味で裏切ってくれる、わかりやすい一本。

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 第24位 (57) 

ゼロ・ダーク・サーティ

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監督:キャスリン・ビグロー / 出演:ジェシカ・チャステインジェイソン・クラーク / 2012年 / アメリカ / サスペンス(実話に基づく)

ウサマ・ビン・ラディンを追うCIAチーム。2001年の「9・11同時多発テロ」から、2011年の「ビン・ラディン殺害」までの約10年を描く。アメリカ政府の機密情報をもとに製作された、という説もある、臨場感あふれる作品だ。莫大な時間とカネを投じておきながら、アルカイダ幹部の行方はまったく掴めない。その間、テロは世界各地で繰り返されていく……最終的には、執念でアジトを割り出しミッション完遂。ちゃじるしも思わずガッツポーズしてしまったのだが、冷静になれば、現在もアルカイダをルーツに持つISISは健在なわけで、ちょっと何と闘っているのか問い詰めたくなった。

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 第23位 (53) 

ムーラン・ルージュ

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監督:バズ・ラーマン / 出演:ニコール・キッドマンユアン・マクレガー / 2001年 / アメリカ / ミュージカル(ラブロマンス)

このランキングで唯一のミュージカル映画。パリのキャバレー・ムーラン・ルージュで働くダンサーと作家の恋を、1899年の設定ながら、エルトン・ジョンデヴィッド・ボウイなど現代のポップスを多用し描く。なんと言っても主演ふたり、特にユアン・マクレガーの歌唱力がすばらしく、彼の唄うラブソングこそが、もっとも雄弁に本作を語っている。自由を愛し、我が道を貫くボヘミアンたちの生き生きとした姿も魅力的だ。

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 第22位 (51) 

インセプション

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監督:クリストファー・ノーラン / 出演:レオナルド・ディカプリオ渡辺謙 / 2010年 / アメリカ / SF

他人の潜在意識(夢)に潜入し、情報を盗む男たち。日本人実業家からの依頼で、その技術を応用した仕事に挑戦する。夢の中で夢を見させ、その夢でも夢を見させ……と多層的構造でストーリーが同時展開していくのだが、すっきりしており分かりやすい。街そのものに意思があるような『ダーク・シティ』、仮想世界と現実を行き来する『13F』『マトリックス』など、20世紀末以降に作られた近未来SFのいいところが、ぎっしり詰まっている。渡辺謙がめちゃめちゃいい役で、最後までドキドキさせられた。

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 第21位 (44) 

それでも夜は明ける

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監督:スティーヴ・マックイーン / 出演:キウェテル・イジョフォールピタ・ニョンゴブラッド・ピット / 2013年 / イギリス・アメリカ / ヒューマンドラマ(実話に基づく)

のちに奴隷制度廃止運動家となったソロモン・ノーサップの回想録を映画化。自由州(奴隷制廃止)と奴隷州が混在する1841年のアメリカ。自由州の黒人である彼だが、仕事で立ち寄った奴隷州で拉致され、プランテーション経営者に売られてしまう。以後12年にわたる、苛酷な奴隷生活を描いた作品。重い内容ではあるが、何かにつけ競争を求められる社会の中で、それは姿を変え存在している。昔は酷かったんだなぁだけで済ませるのは傲慢、もしくは麻痺しすぎだろう。今でも誰もが当事者なのだ。アカデミー賞三冠、興行的にも成功してみせた偉大な作品だ。

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